ナノ粒子動画計測システム NP-NEX

「ナノ粒子動画計測システム NP-NEX」は、ウルトラファインバブル(UFB)などのナノ粒子を測定・評価することができるシステムです。

UFBは⽇本で生まれた画期的な技術であり、近年実⽤化が進み、UFBを利⽤した製品も洗濯機やシャワーなど⾝近なところにまで浸透してきています。
しかし、様々な効能がマクロな現象としては認識されている⼀⽅で、UFBの実際の作⽤メカニズムについてはほとんどが未解明のまま放置されています。

またUFBの粒径測定においても、PTA(粒子軌跡法)やDLS(動的光散乱法)などの測定方法では、
粒径が60nmを下回るUFBは、原理的に測定・評価することができませんでした。

「ナノ粒子動画計測システム NP-NEX」は、従来の測定方法とは異なり、
基板上または界面上にUFB等のナノ粒子をソフトランディング(静止しているように見えるが動くことができる状態)させ、測定します。
従って、UFBの粒径・濃度の測定だけでなく、UFBによる洗浄・分解・反応過程などをリアルタイムで観察することができます。
さらには、グラファイトなど疎水性の基板表面に自然発生する表面ナノバブルと人工的に生成させたUFBの識別をすることも可能です。

※1. この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「NEDO先導研究プログラム/新産業創出新技術先導研究プログラム/ウルトラファインバブルの粒径並びにダイナミクスの新規評価法開発」の結果得られたものです。
※2.「ウルトラファインバブル」は、一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標です。

特長

1. UFBを直接可視化

UFBの可視化のため、弊社の高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を使用して測定を行っています。
従来の計数・解析・画像処理による間接的可視化ではなく、UFBの形状を直接可視化できます。

2. 50 nm以下のUFBも精密画像に

基板上のUFBを高速AFMにより可視化するため、各種サイズのUFBを測定できます。
他の測定方法では観察できない50 nm以下のUFBの形状やその変化を観察することができます。

3. 測定界面にソフトランディング

測定したい試料を、基板に固定せずに観察できます。

4. 反応界面での測定

UFBが実際に作用する場所の1つである、基板上あるいは界面上での挙動を観察できます。

5. 反応過程を観察

気泡が収縮する様子や、基板から発生する様子など、経時変化をリアルタイム動画で観察できます。
また、変化の前後を画像で出力することも可能です。

測定・解析機能

1. 基板上での測定例

UFB
表面ナノバブル
UFB
原水(表面ナノバブル)

2. 専用ソフトによる粒子径分布解析

専用ソフトにより、測定で得られた動画データの下記項目の解析を行えます。

  • 各サイズの粒子の個数集計
  • 粒径分布表示
  • 断面解析
  • 測定像の3D表示

3. 灌流装置によるUFBのリアルタイム反応過程観察

 

4. 電圧印加方式によるソフトランディング

 

仕様

測定原理 AFM ソフトランディング測定法
測定時間 1 sec / frame
濃度範囲 10^9 個 / ml ~(測定試料による)
電源 AC100V

オプション

標準オプション
タイル測定モジュール
  • 多数の領域を、タイル状に自動観察できます

  • 個々の領域は高速観察が可能です ※最高速度は使用するスキャナに依存します

  • 広範囲測定モジュールと組み合わせることで、標準スキャナと同等の解像度で広範囲のタイル測定ができます

タイル測定用広範囲スキャナ

  • 最大走査範囲を広げられます
  • 広い観察領域が必要な測定に適しています
  1. 走査速度  : 10 s / frame (0.1 frames / sec)
  2. 最大走査範囲: XY: 30 µm × 30 µm, Z: 0.7 µm

​※広域型スキャナ付属

電位制御モジュール

  • 溶液中、電位制御下でのAFM測定ができます
  • 任意の電位で電気化学反応を起こし、
    試料表面形状の変化(試料の酸化還元、分解、吸着など)をリアルタイム観察するのに適しています
機能拡張オプション

ハイスピードモジュール

  • 走査速度を上げられます
  • 速い走査速度が必要な酵素反応や構造変化を観察するのに適しています
  1. 走査速度  : 50 ms / frame (20 frames / sec)
  2. 最大走査範囲: XY: 0.7 μm × 0.7 μm, Z: 0.4 μm

​※高速型スキャナ付属

灌流モジュール
  • 測定中に溶液を交換できます
  • pHや塩濃度の変化をトリガーとするサンプルの変化を観察するのに適しています
温度調節モジュール
  • 溶液を加温できます
  • 対応温度: 室温~40℃
光照射モジュール
  • 紫外線、可視光など、様々な励起光をサンプルに照射できます
  • ケージド化合物や光異性化分子を用いた測定に適しています

​ ※後から光照射モジュールを購入される場合は、除振台のリプレイス(有料)となります

力学測定モジュール
  • フォースマッピング測定によって、粘弾性の空間分布を取得することができます
  • 取得した画像の一部分を狙って粘弾性測定をすることができます。ナノ粒子の硬さ、柔らかさを測定できます

注1: 各モジュールの最大走査範囲は代表値です
注2: 走査速度は決められた条件下での値であり、最大走査範囲での走査速度を保証するものではありません

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