Vol.013 Cu電析過程のその場観察

出典:Yoshioka T. Matsushima H. and Ueda M.
In situ observation of Cu electrodeposition and dissolution on Au(100) by high-speed atomic force microscopy
Electrochem. 
Commun. 2018

要旨

電析とは、2つの電極に電圧を加えることで片方の電極が溶けだし、もう片方の電極表面に付着する現象である。

金属の電析は古くから電気めっきに活用されているが、近年では超小型の電気機械システムの作製に活用されるなど、その重要性が高まってきている。電析による析出物の解析は、古くから電子顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡といった真空中で観察する顕微鏡を用いて行われてきた。一方、電析は溶液中で、数秒単位で生じる反応であることから、電析の過程についての解析はほとんど行われていなかった。

本研究では、高速AFMを用いてCu電析物(Cuアイランド)の形成過程と溶解過程の観察を試みた。

Keyword: 金属電析と電気めっき

金属電析を実用的に用いた方法が電気めっきである。
電気分解によって金属電析を生じさせ、電析物を薄い膜のように積層させることでめっき加工を行う。めっき技術は、素材の見た目を良くするだけでなく、腐食への耐性を付与する効果もある、有用性の高い技術である。

観察結果

高速AFMでの観察が可能な電気化学セルを作製し、Au基板表面に析出するCuアイランドを直接観察した。

硫酸銅水溶液を電解溶液として、作用電極に Au基板、対極に Pt、参照極には銅線を用いる。
負の電圧を印加すると、Au基板上に Cu の電析が生じ、Cuアイランドの形成される様子が確認された。Cuアイランドの高さから、Cu原子の堆積数を見積もることに成功した。さらに局所的な電流の差に起因して、Cuアイランド間において堆積数の差が存在することが明らかになった。また、正の電圧を印加すると、逆にCuアイランドが溶解する様子が確認された。

このように高速AFMを用いて、Cuの電析過程とCuアイランドの溶解過程のダイナミクスを解析する事に成功した。

高速AFM観察画像

 

高速AFMがとらえたCuアイランドのダイナミクス

(a)-(c):負の電圧を印加した時のCuアイランド形成過程。(a) 0 s、 (b) 10 s、 (c) 20 sを示す。

(d)-(f):正の電圧を印加した時のCuアイランド溶解過程。(d) 0 s、 (e) 10 s、 (f) 20 s を示す。

右図:(a)~(f)までの動画

 

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出典論文

Yoshioka T. Matsushima H. and Ueda M.
In situ observation of Cu electrodeposition and dissolution on Au(100) by high-speed atomic
force microscopy, Electrochem. Commun. 2018 (92) 29-32, ISSN 1388-2481
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1388248118301243

 

使用機種

サンプルスキャン型高速原子間力顕微鏡 SS-NEX

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